れているのは嬉しいが、二人きりの生活の方が何倍も楽しかった。それは悽く辛いことだったのかもしれないけど、二人の間を誰も邪魔しなかった。貧しくて欲しいものも買えなかったけど、健人がそのことに文句を言うことは無かった。母さえいれば、健人は良かったのだ。
「來年、お父さんの十三回忌ね」
「……もうそんなになるんだ」
ジャガイモの皮を剝いている母を見て、健人は父が死んでそんなに経